ぺこり
- monmonbuu
- 2016年4月5日
- 読了時間: 2分
毎日、毎日、スーツを着たおじさんに頭を下げる。
男性と同等に働いてます私、みたいな
マノロブラニクのヒールを履いている、やけに堂々とした女性にも頭を下げる。
お堅い会社なのに、
何故か私のユニフォームは紺と赤のチェック柄。
その下にはリボンのついた白いワイシャツ。
9:00前後は忙しい。
18:00前後も忙しい。
忙しく忙しくぺこりぺこりと頭を下げ続ける。
お名前お伺いしてもよろしいでしょうか。
~さん、~さんがロビーにお見えです。
えぇ。はい。はい。かしこまりました。
~があと5分で降りてきますので、
そちらにおかけになってお待ちください。
反復作業。
右足を踏み出したら左手が前で、
左足を踏み出したら右手が前。
まるでそんな反復作業。
1時間半の休憩さえもルーティンワーク。
今日はあの子が、この前の合コンで出会った男の話をしているし、
昨日はあの子の隣でサラダを食べてるその子の不倫相手の話を聞いた。
多分明日は、私の目の前で化粧直しをしているこの子の元彼の愚痴を聞かされる。
毎日がそういう風に過ぎていて、
まるで私はベルトコンベアーに乗せられた、小さい小さい部品みたい。
私じゃなくてもいいし、ロボットでも犬でも猫でもいい。
こなせばそれでいい。私じゃなくてもいい。
でもきっといつしかそれが当たり前になって、
反復作業は反射運動へと進化して、
きっときっと疑問も不安も恐れもなんにもなくなる。
むしろこれが安心だ安定だなんて自己肯定のボタンをぽちり。
そして今日も朝からぺこり。
なんの、なんの気力もない。
変わるのも変えるのも、全て自分。
だけれど小さな部品の私は、
自分では流れを変えることができない。
ベルトコンベアーの切り替えスイッチが押されることを待つしかできない。
だからぜったい、明日もぺこり。
・・・・・・・
極めればなんだってプロフェッショナルになることができると思うけれど、
どんな職業だって自分なりの価値観をもって極めればカッコいいと思うけれど、
とにかくぜったいぜったい
替えの効かない存在でありたいんだってこと。
もねだからできること。もねだからできること。
もねにしかできないこと。
注意。その心理を悪用する大人もいるから気をつけなきゃ、ね。
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